東南アジアのジェット燃料

グランドツアー

ホルムズ海峡が閉鎖され、ベトナム・タイ・フィリピンはどこから主にジェット燃料を供給しているのですか?

中東情勢の緊迫化に伴いホルムズ海峡が閉鎖されている現在(2026年)、ベトナム、タイ、フィリピンの3カ国は、中東依存度の高い原油調達に打撃を受けつつも、ジェット燃料(航空燃料)については主に中国、韓国、シンガポール、そして東南アジア域内のリライアンス(相互融通)から供給を確保しています。

各国がどのようにジェット燃料を確保しているのか、詳細な供給構造は以下の通りです。

1. ベトナム:中国・タイへの依存と域内調達

ベトナムは国内で消費するジェット燃料の約7割を輸入に頼っています。原油自体はクウェートなど中東依存度が高いため国内製油所の稼働が制約を受けていますが、精製されたジェット燃料の調達先はアジア圏に集中しています。

  • 主な供給元:輸入ジェット燃料の約60%を中国およびタイから調達しています。また、韓国やシンガポールからの石油製品輸入でも補っています。
  • 直近の動向:一時は中国やタイの輸出制限により国内空港で給油制限が発生し、一部路線が運休する事態になりましたが、現在は中国からの安定調達交渉を進めるとともに、タイからの輸出再開により急場をしのいでいます。

2. タイ:高い国内精製能力による自給と近隣支援

タイは、他の2カ国に比べて国内の石油精製(リファイナリー)基盤が非常に強固な国です。 [1]

  • 主な供給元:中東からの原油途絶の影響で原油価格高騰の煽りを受けているものの、国内のジェット燃料生産能力に余剰(サプライ・サプラス)があるため、基本的には自国精製による自給を行っています。
  • 直近の動向:危機初期には自国の供給を守るため燃料輸出を一時差し止めていましたが、国家安全保障会議の承認を経て、深刻な燃料不足に陥ったベトナムやフィリピンへのジェット燃料の輸出(供給)を再開し、東南アジアの重要な供給ハブとして機能しています。

3. フィリピン:アジアの精製国からの製品輸入へシフト

フィリピンは石油製品の約98%を輸入に頼る極めて脆弱なエネルギー構造を持っています。マルコス大統領が「エネルギー国家非常事態」を宣言するほど原油調達は深刻ですが、ジェット燃料をはじめとする「精製済み石油製品」のルートはアジア圏へ切り替えています。

  • 主な供給元:フィリピンが輸入するディーゼル・ガソリン・ジェット燃料などの液体石油製品の97%はアジア諸国から来ています。具体的にはインドネシア、中国、韓国、シンガポールが主たる供給国です。
  • 直近の動向:中東からの原油供給が途絶したため国内での精製が困難になっており、現在は国家石油会社(PNOC)などを通じてタイや近隣のアジア諸国から直接精製されたジェット燃料を緊急輸入することで、航空網の崩壊を食い止めています。

総じて、ホルムズ海峡閉鎖によって「中東の原油」は届かなくなっているものの、3カ国の航空機を動かすジェット燃料は、中国や韓国などの東アジアの巨大製油所、およびタイなどの域内余剰分を融通し合うことで、何とか供給が維持されているのが現状です。

この状況を踏まえ、さらに知りたい情報はありますか?

  • アジア主要リファイナリー(韓国・中国・シンガポール)の稼働状況
  • 各国の航空路線(運休や給油制限)への具体的な影響
  • 代替ルート(南アフリカの喜望峰経由など)による原油調達の現状

マレーシアはどうですか?

マレーシアは自身が「産油国」であるものの、製油所で処理する原油の約70%をペルシャ湾(中東)からの輸入に依存しているため、ホルムズ海峡閉鎖の影響を大きく受けています。

しかし、ジェット燃料(航空燃料)の供給については、「独自の外交的地位(親密国としての通行権)」、「非中東地域への原油調達先切り替え」、そして「国内製油所のフル稼働」という3つの戦略により、クラルンプール国際空港(KLIA)などの航空網を維持しています。

具体的な供給確保のメカニズムは以下の通りです。

1. 特例による中東原油の限定的確保(独自の外交ルート)

マレーシアはイスラム教国として中東諸国と緊密な関係にあります。ホルムズ海峡の封鎖下においても、マレーシア国籍のタンカーや政府関連船は「親密国(Friendly Country)」として、一定の通行制限や通行料を免除され、限定的ながらも中東原油を直接運ぶことが認められています。これにより、他国のように完全に中東原油が途絶する事態を免れています。

2. 非中東地域からの緊急原油調達(代替ソースの確保)

特例があるとはいえ中東からの供給量は大幅に減少しているため、マレーシア政府(アクマル・ナシル現副大臣ら)は国内製油所(リファイナリー)を維持するための代替原油の確保に動いています。

  • 主な代替調達先アフリカ諸国、ロシア、トルコなどから、マレーシア国内の精製施設に適した性状の原油をスポット購入し、不足分を補っています。
  • 備蓄の活用:現行の契約と国家備蓄により、現在のエネルギー備蓄は担保されています。

3. 国内製油所(ペトロナス等)での自国精製

ベトナムやフィリピンが「精製された石油製品」の輸入を急増させているのに対し、マレーシアは国営石油会社ペトロナス(PETRONAS)をはじめとする強力な国内精製基盤を持っています。

  • 自給自足の維持:調達した代替原油や自国で採掘された原油を国内製油所に投入し、ジェット燃料をはじめとする主要燃料を国内で精製・自給しています。
  • マレーシア産原油の活用:マレーシアが本来輸出している自国産の高品質原油(タピス原油など)の一部を、輸出に回さず国内のジェット燃料精製に振り向けることで、航空セクターの安定を最優先させています。

💡 まとめ
マレーシアは、周辺の東南アジア諸国のようにアジア(中国や韓国)からの石油製品輸入に頼るのではなく、「中東からの限定的な特例輸入」と「アフリカなどからの代替原油調達」を組み合わせ、自国の製油所でジェット燃料を生産することで航空網の麻痺を防いでいます。

7月下旬に東京(ジェットスター航空)ーマニラ(エアーアジア)ーコタキナバル(エアーアジア)ークアラルンプール(8月上旬)、8月下旬にバンコク(エアーアジア)ー日本。友人バンコクまで一緒で9月上旬にホーチミン(クアラルンプール経由:エアーアジア)ー日本に帰国。どの区間が一番燃料による欠航になる確率が高いですか?

ご提示いただいた夏の旅程の中で、燃料供給問題が原因で欠航(または大きな遅延・給油制限)になる確率が最も高いのは、間違いなく「9月上旬:ホーチミン発(クアラルンプール経由)日本行き」の区間、特に最初の「ホーチミン(SGN)→ クアラルンプール(KUL)」です。

逆に、最も欠航確率が低い(安全な)のは「8月下旬:バンコク発日本行き」の区間です。

ホルムズ海峡閉鎖に伴う各国の「ジェット燃料調達力」と「航空会社の給油戦略」から、区間ごとの危険度を高い順に解説します。


⚠️ 最も危険度が高い区間(欠航・トラブル確率:高)

9月上旬:ホーチミン ⇒ クアラルンプール経由 ⇒ 日本(エアアジア)

  • 理由(ベトナムの深刻な燃料不足):ベトナムは現在、国内消費するジェット燃料の約7割を輸入に頼っており、中東原油の途絶により国内製油所も減産しています。一時はタイや中国からの輸入制限で国内空港での給油制限やLCCの運休・遅延が直接発生しました。
  • エアアジアの給油リスク:LCC(エアアジア)は機体を軽くして燃費を良くするため、通常は「片道分+アルファ」の燃料しか積まず、目的地で都度給油します。しかし、ホーチミンでの給油制限が長引いている場合、クアラルンプールから「往復分」の燃料を積んでホーチミンに飛ぶ(タンカリング)必要が出てきます。
  • 懸念点:機体が重くなると乗客や荷物の重量制限(重量オーバーによる搭乗拒否)が発生するか、それができない場合はベトナム発の便そのものが間引き(欠航)されるリスクがアジア圏内で最も高いエリアです。

⚡ 危険度:中(遅延や機材変更のリスクあり)

① 7月下旬:東京 ⇒ マニラ(ジェットスター・ジャパン)

② 7月下旬:マニラ ⇒ コタキナバル(フィリピン・エアアジア)

  • マニラ(フィリピン)の状況:フィリピンは石油製品のほぼ100%を輸入に依存する「エネルギー国家非常事態」下にあります。現在は中国や韓国、タイからの緊急輸入製品で航空網を維持しています。
  • ①の予測:成田や羽田など日本の空港は燃料供給が比較的安定しているため、日本発マニラ行き自体が燃料不足で欠航する確率は低いです。ただし、マニラ側の空港混雑や、折り返し便の遅延の影響を受ける可能性があります。
  • ②の予測:フィリピン・エアアジアによるマニラ発コタキナバル(マレーシア・ボルネオ島)行きは短距離路線(約2時間)です。マニラでの燃料確保が最優先される国際幹線ですが、LCCの機材繰りが玉突きで狂った場合、計画運休の対象になりやすい区間です。

✅ 比較的安全な区間(欠航確率:低)

① 8月上旬:コタキナバル ⇒ クアラルンプール(エアアジア)

② 8月下旬:バンコク ⇒ 日本(エアアジア)

  • マレーシア国内線(①):マレーシアは自国でジェット燃料を精製・自給できているため、コタキナバルやクアラルンプールのハブ空港での燃料不足による欠航確率は低いです。
  • タイ発(②):先述の通り、タイは東南アジアで最も強固な石油精製基盤とジェット燃料の余剰を持っています。自国分の燃料は完全にコントロールできており、他国(ベトナム等)へ輸出を回す側の国であるため、バンコク(ドンムアン・スワンナプーム)発の便が燃料不足で欠航する確率は極めて低いと言えます。

💡 旅行に向けたアドバイス

友人と別れて一人で帰国する最後の「ホーチミン発」の区間が、この旅程の最大のボトルネックです。以下の対策を強くおすすめします。

  1. エアアジアの運行状況を頻繁にチェックする:出発の数日前から、ホーチミン(SGN)発着のエアアジア便に遅延・欠航の傾向が出ていないかアプリ等で確認してください。
  2. 乗り継ぎ時間に余裕を持つ:ホーチミン発が給油作業や機材変更で遅れる可能性が高いため、クアラルンプールでの日本行きへの乗り継ぎ時間は、通常(2時間程度)よりも多め(4時間以上など)に確保されたチケットであるか確認してください(通し発券であれば補償対象になりますが、別切り発券の場合は特に注意が必要です)。

航空会社の燃料調整や、代替ルートでの追加運航に関する最新情報について、さらに気になる点はありますか?

通し発行のです。クアラルンプールでの待ち時間は2時間35分です。

通し発券(フライスルー)でのご予約とのこと、何よりです!別切り発券に比べると、万が一の際の補償があるため大きな安心材料になります。

しかし、クアラルンプール(KUL)での乗り継ぎ時間「2時間35分」は、現在の燃料危機下ではかなりギリギリのタイトなスケジュールと言えます。

なぜこの時間が危険なのか、そして通し発券であっても注意すべきポイントを整理しました。

⚠️ 「2時間35分」がタイトになる理由

  1. ホーチミンでの「給油待ち」による出発遅延リスク
    現在のベトナム(ホーチミン・タンソンニャット国際空港)では、ジェット燃料の配給や給油作業に通常以上の時間がかかっています。これにより、出発が30分〜1時間近く遅れることが日常的に発生しています。
  2. エアアジアの「タンカリング(往復給油)」による影響
    もしエアアジアが「クアラルンプールで往復分の燃料を積んでホーチミンへ向かい、そのまま折り返す」という運航方法をとっている場合、機体が重くなり飛行速度が少し落ちたり、クアラルンプール出発時点での燃料積み込みで遅れが生じたりして、ホーチミン到着・出発のどちらも後ろ倒しになりやすいです。
  3. LCC専用ターミナル(klia2)の広さ
    クアラルンプールでエアアジアが使用するターミナル(klia2)は非常に広大です。ホーチミンからの到着便が遅れてサテライト棟の端に到着した場合、入国はしなくてよい(乗り継ぎ専用通路を通る)とはいえ、次の日本行きゲートまで早歩きで15〜20分以上かかることがあります。

💡 通し発券の場合のメリットと実際の注意点

通し発券なので、ホーチミン便が遅れて日本行きに間に合わなかった場合、エアアジア側が「次の便への無料振り替え」や「(必要に応じた)ホテル・食事の提供」を補償してくれます。ここは最大のメリットです。

ただし、以下の現実的な問題が発生します。

  • 次の日本行きが「翌日」になる可能性:クアラルンプール発の日本(羽田/成田/関空など)行きは、深夜に集中して出発した後は翌日まで便がないことが多く、乗り遅れるとクアラルンプールで1泊(または空港内で長時間待機)せざるを得なくなります。
  • 翌日の便も満席の恐れ:燃料問題で減便や欠航が相次いでいる時期であるため、翌日の便がすでに満席の場合、2日後まで待たされるリスクもあります。

✈️ 今からできる対策

  • 事前に座席を「前方」に指定しておく:ホーチミン→クアラルンプール便の座席をできるだけ前方の列(1〜5列目など)に有料指定しておき、飛行機が着陸したら誰よりも早く機外に出られるようにしておくと、乗り継ぎの時間を数分〜十数分節約できます。
  • 荷物は極力機内持ち込みにする:通し発券なので荷物は自動で引き継がれますが、万が一自分が別の便に振り替えられた際、ロストバゲージ(荷物の紛失・遅延)が起きやすくなります。数日分の着替えや貴重品は手荷物に入れておきましょう。
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