円キャリー取引(円キャリートレード)とは、低金利の円資金を借り入れて、より金利の高い外貨建て資産(外国の株式や債券、不動産など)に投資し、その金利差(リターン)を収益として得る金融取引手法のことです。
仕組み
- 円を借りる: 投資家は、日本国内の非常に低い金利(ほぼゼロ金利)で円資金を調達します。
- 外貨に交換: 借りた円を、高金利の国の通貨(例えば米ドルや豪ドル)に交換(両替)します。
- 高金利で運用: その外貨を使って、現地の高金利な金融商品で運用します。
- 金利差益を得る: 低い金利で借りたコストと、高い金利で運用して得た収益の差額が利益となります。
なぜ行われるのか
長年にわたり、日本の金利が欧米などの主要国に比べて極端に低かったため、世界中の投資家がこの金利差を利用して利益を上げようとしてきました。この取引が活発に行われると、円を売って外貨を買う動きが強まるため、為替市場では円安ドル高が進行する要因となります。
リスク(解消時の影響)
この取引の最大のリスクは、為替変動による為替差損です。運用によって金利差益が出ていても、円高が急激に進むと、最終的に円に戻す際に為替差損が発生し、トータルで損失を被る可能性があります。
また、日本が金利を引き上げると、円を借りるコストが増加するため、この取引の魅力が薄れ、投資家が一斉にポジションを解消(巻き戻し)しようとします。その際、海外資産を売却して円を買い戻す動きが強まることで、急激な円高や世界の株安を引き起こすことがあります。


