円キャリートレードにおいて、低金利の円資金を借り入れて運用することで
資金流入の恩恵を強く受けてきた市場は、主に以下の特徴を持つ国々です。
1. 高金利先進国
これらの国々は、先進国の中では比較的高金利であり、為替リスクも(新興国に比べれば)低いため、日本の投資家にとって主要な投資先となってきました。
- オーストラリア
- 長らく政策金利が日本より大幅に高かったため(かつては5%〜7%台)、円キャリートレードの代表的な投資先通貨(豪ドル)および株式市場でした。
- ニュージーランド
- オーストラリアと同様に、高金利通貨(NZドル)の運用先として人気がありました。
2. 高金利・高成長の新興国市場
より高いリターンを求める投資マネーは、成長著しい新興国の株式や債券市場にも流入しました。
- ブラジル
- 政策金利が非常に高く(時に二桁)、資源国としての魅力もあり、資金流入が活発でした。
- インド
- 経済成長への期待感と比較的高い金利水準から、投資対象となってきました。
- インドネシア、トルコ、南アフリカなど
- これらの高金利通貨を発行する新興国も、円キャリー取引の投資対象となってきました。
3. 世界の主要株式市場(特に米国)
円キャリー取引で調達された資金は、必ずしも債券市場だけでなく、世界の主要な株式市場にも流入しました。
- 米国
- 超低金利の円資金が、米国の株式市場(特に高い成長性が見込まれるハイテク株など)に投じられ、市場全体の流動性を高め、株価の上昇を後押しする一因となりました。
これらの市場は、日本の利上げによる円キャリー取引の巻き戻し(資金引き揚げ)が起こった場合、その逆風(株価下落圧力や通貨安)を最も強く受ける可能性があると見られています。


