インフレ時代は投資をしていないと・・・

その他

日露戦争の戦費の一部を国債で補いました。その後のインフレで国内の借金はチャラになったと聞きますが本当ですか?

「インフレでチャラになった」という話は、「国内向け」の借金については概ね事実ですが、「海外向け」の借金(外債)については間違いです

結論から言うと、日本は日露戦争の借金を1986年まで80年以上かけて、きっちり完済しています。

なぜ「チャラになった」という説があるのか、そしてなぜ完済にこれほど時間がかかったのか、その理由は以下の通りです。

1. 国内の借金(内債)はインフレで激減した

日本国内の個人や銀行から借りたお金については、第二次世界大戦後などの猛烈なインフレによって、その価値が「紙くず」同然になりました。

  • 例: 戦前の「1円」で買えたものが、戦後のインフレで数千円出さないと買えなくなったため、国が返す「1円」の負担も実質的に消滅したような状態になりました。

2. 海外の借金(外債)は「チャラ」にできなかった

日露戦争の戦費の約半分(約7億〜8億円)は、イギリスやアメリカから外貨(英ポンドなど)で借りました。

  • 国際的な信用: 日本は「借りたものは必ず返す」という姿勢を貫くことで国際的信用を維持しようとしました。
  • 返済の難しさ: 外国から借りたお金は「外貨建て」であるため、日本国内でいくらインフレが起きても、返す金額(ポンドやドル)は減りません。むしろ円安になればなるほど、日本円で準備しなければならない返済額は増えてしまいます。

3. なぜ1986年までかかったのか?

日露戦争の借金は、予定通りの返済が困難になる局面が何度もありました。

  • デフォルト(債務不履行): 第二次世界大戦中、日本は敵国となったイギリスやアメリカへの利払いを停止していました。
  • 戦後の誠実な返済: 敗戦後、日本は再び国際社会に戻るために、一時停止していた外債の元本と利息の支払いを再開しました。
  • 完済: こうした経緯を経て、バブル経済が始まろうとしていた1986年、ようやく最後の外債の償還が終わりました。

「日本は日露戦争の借金を、最近(1986年)まで返し続けていた」という事実は、日本の国際的な信用がいかに高く、かつ戦争のコストがいかに長期にわたって国家財政を縛るかを示す象徴的なエピソードとして語られることが多いです。

今日本政府は多くの借金を国民に日本円でしています。これもこれからのインフレですぐにチャラにできるのでは?

はい、理論上は「インフレで実質的な借金を減らす」ことは可能です。しかし、それを現代の日本で実行すると、政府の借金が減るのと引き換えに、国民の生活や資産が破壊されるという非常に深刻な副作用が生じます。

「チャラにする」ことが現実的に難しい、あるいは危険である理由は主に3つあります。

1. 「インフレ税」として国民が負担することになる

政府の借金(国債)の多くは、巡り巡って日本国民の銀行預金や生命保険、年金基金によって支えられています。

  • 価値の目減り: インフレで政府の借金が「実質半分」になる時、あなたの銀行預金の価値も「実質半分」になっています。
  • 見えない増税: これは「インフレ税」とも呼ばれ、政府が直接税金を取らなくても、国民の持つお金の価値を奪うことで借金を穴埋めしているのと同じ状態です。

2. 金利の上昇によるコスト増

現代の政府は、日露戦争時とは異なり、常に「古い借金を返すために、新しい借金をする(借り換え)」ということを繰り返しています。

  • 利払い負担: インフレが起きると通常は金利も上がります。新しく発行する国債の金利が跳ね上がれば、政府が支払う利息(国債費)が爆発的に増え、借金を減らすどころか財政がさらに悪化するリスクがあります。

3. 社会の混乱(ハイパーインフレの恐怖)

「借金をチャラにするほど」の急激なインフレは、しばしばコントロール不能なハイパーインフレに繋がります。

  • 生活の破綻: 物価が毎日倍々で上がるような状況になれば、年金生活者は生活できなくなり、企業は活動を停止し、社会インフラも維持できなくなります。
  • 戦後の教訓: 日本は戦後にこれを経験しました。借金は実質的に消えましたが、その代償として国民は「預金封鎖」や「新円切り替え」といった強硬策を飲まされ、戦前から貯めていた財産のほとんどを失いました。

結論

現代の日本政府が円建てで借金をしているため、「返済不能(デフォルト)」で国が倒産する確率は低いと言えます。しかし、安易にインフレで解決しようとすることは、国民の資産を犠牲にして帳尻を合わせることと同じであるため、政府は慎重に物価と金利をコントロールしようとしているのです。

現在は、急激なインフレではなく、「名目経済成長率をインフレ率より高く保ち、相対的に借金の比率を下げていく(プライマリーバランスの黒字化を目指す)」という、より時間のかかる着実な方法が目指されています。

日本の財政健全化に向けた具体的なプロセスや、個人の資産をインフレから守る方法について、さらに詳しく知りたいですか?

でも、株や金に投資している人は、インフレをカバーできるのでは?

その通りです。株や金(ゴールド)といった資産に投資している人は、インフレによって現金(日本円)の価値が下がっても、自分の資産価値を維持・向上させる「インフレヘッジ(回避)」ができる可能性が高いです。 [

ただし、全ての投資家が必ずカバーできるわけではなく、資産の種類によって「守り方」が異なります。

1. 株:企業の「成長」と「値上げ」でカバー

株式は一般的にインフレに強い資産とされています。

  • 価格転嫁: インフレで物価が上がると、企業は製品やサービスの価格を上げることができます。これにより企業の売上や利益が増え、結果として株価が上昇しやすくなります。
  • 注意点: 全ての企業が価格を上げられるわけではありません。原材料費の高騰を価格に転嫁できない企業や、景気が悪化する「悪いインフレ(スタグフレーション)」の状況では、逆に株価が下がるリスクもあります。

2. 金(ゴールド):通貨の「信用」低下をカバー

金はそれ自体に価値がある「実物資産」であり、インフレ対策の王道と言われます。

  • 普遍的な価値: お金(紙幣)の発行量が増えて価値が薄まっても、金の総量には限りがあります。そのため、通貨の価値が下がるほど、金の価値は相対的に上がります。
  • 注意点: 金は持っているだけでは利息や配当を生みません。また、急激な金利上昇が起きると、利息のつく資産(銀行預金など)に資金が流れ、金の価格が一時的に下がることもあります。

3. その他の資産

  • 不動産: 物価上昇に合わせて家賃や物件価格も上がる傾向があるため、強力なインフレ対策になります。
  • 外貨: 日本国内のインフレ(円安)に対しては、米ドルなどの外貨を持つことも資産を守る手段になります。

まとめ

「政府の借金がインフレでチャラになる(=国民の現金の価値が下がる)」という事態が起きても、株や金、不動産などの「モノ」の価値を持つ資産に分散投資している人は、その被害を最小限に抑えたり、逆に利益を得たりすることができます。

こうした背景から、最近では「貯金一辺倒」ではなく新NISAなどを活用して資産を「モノ(株式など)」に移す動きが加速しています。

もし、具体的に「どの資産をどれくらい持てばインフレに耐えられるか」といったポートフォリオの考え方について興味があれば、続けてお伝えしましょうか?

やはりこれからも外国株を持っていることは重要なリスクヘッジとなるのですね。

はい、その通りです。外国株を保有することは、日本のインフレや円安というリスクに対する非常に強力なリスクヘッジ(回避)となります。

特に現代の日本において、外国株(特に「為替ヘッジなし」のもの)を持つことが重要とされる理由は以下の3点に集約されます。

1. 通貨分散による「円安」対策

日本国内でインフレ(物価上昇)が起きる際、同時に「円の価値が他国通貨に対して下がる(円安)」ことがよくあります。

  • 効果: 外国株を保有していれば、その資産は「米ドル」や「ユーロ」などの外貨建てです。円の価値が下がっても、外貨としての価値が維持されるため、日本円に換算したときの資産額は目減りしにくく、むしろ円安が進むほど増える傾向にあります。

2. インフレ耐性のある「実物資産」としての側面

株式は「企業という事業体への所有権」であり、インフレ局面でも価値を維持しやすい「実物資産」に近い性質を持ちます。

  • 効果: インフレで物価が上がれば企業の売上や利益も(名目上)増えるため、長期的には株価も物価上昇に伴って上昇する傾向があります。国内株だけでなく、世界の成長を取り込める外国株を持つことで、より広範なインフレから資産を守れます。

3. 日本独自の経済リスクの回避

将来的に「日本の国力が低下し、円の価値が大きく毀損する」といった極端なシナリオ(カントリーリスク)が起きた場合、日本円の資産しか持っていないと生活が破綻する恐れがあります。

  • 効果: 資産の一部を海外の成長している国や企業に移しておくことは、「日本という国と心中しないための保険」になります。

注意点:リスクをゼロにするわけではない

一方で、以下の点には留意が必要です。

  • 二重のリスク: 外国株は「株価の変動」と「為替の変動」という2つのリスクを同時に抱えることになります。世界景気が悪化した際に「世界同時株安」と「円高」が同時に起きると、資産が大きく減る可能性があります。
  • 為替ヘッジの有無: 「為替ヘッジあり」の投資信託などを選ぶと、円安による恩恵(リスクヘッジ効果)が得られなくなるため、インフレ対策としては一般的に「為替ヘッジなし」が適しています。

日露戦争の例で見たように、国が抱える借金(円の信用リスク)が国民の現預金の価値を脅かす可能性を考えると、資産の「場所(国)」と「形(通貨)」を分散させておくことは、現代の資産運用において欠かせない戦略と言えます。

今のポートフォリオにおいて、外国株の比率をどれくらいに設定すべきか、あるいは特定の国(米国など)に絞るべきかといった戦略について、さらに深掘りしてみますか?

タイトルとURLをコピーしました